飛行機に乗ると、耳が痛くなることがあります。
その痛みの度合いは、個人差があったり、その時々で程度の差があることもあります。
酷い症状が出る場合は、誰かに助けを求めて大声を出してしまうほどの強烈な痛みを感じる人もいるようです。
そしてそれはどのようなタイミングでおこるのか?大抵の人は、以下の状況で耳の痛みを感じることと思います。
- 離陸してから高度が安定するまで
- 着陸態勢に入って着陸するまで
そもそも、なぜ飛行機に乗ると耳が痛くなってしまうのか?
そして、痛くなってしまったとき、どういった治し方があるのか。
または、それを軽減したり予防するための道具は、どういったものがあるのか?
本記事では、飛行機で耳が痛くなる理由と治し方、そして軽減または予防するための対策法について調査しました。
飛行機で耳が痛くなる理由
耳が痛い状態とは、体に何が起きている状態なのでしょうか。
どういった理由で『耳が痛い』という状態になっているのか。
耳の中では、鼓膜を境に鼓膜の内側である「中耳」側の気圧と、鼓膜の外側である外気側の気圧に圧力差が生じることで、鼓膜に対して外側か内側のどちらか一方に強い圧力がかかってしまうことが理由です。
その結果、鼓膜に痛みが生じているのです。
飛行機が離陸する場合(これから高度が上がる場合)
これから飛行機が離陸する、という場合、その高度が上がるにつれて鼓膜の外側の気圧が下がり、高度一万メートルでの機体内の圧力は0.8気圧まで下がります。
しかし、鼓膜の内側の気圧は地上と同じ1気圧を保ったままでいるため、鼓膜を境に外側と内側で圧力差が生じます。
<離陸時の圧力のかかり方>
外側気圧・低↓┃鼓膜┃内側気圧・高↑
←圧力は外側へ
その圧力差が理由で、敏感な器官である鼓膜を外側に押されるため耳に痛みを感じているのです。
飛行機が着陸する場合(これから高度が下がる場合)
上記とは逆に、これから飛行機が着陸するという場合、その高度が下がるにつれて耳(鼓膜)の外側の気圧が1気圧へ向けて上がっていきます。
しかし、鼓膜の内側の気圧は高い高度で調整された0.8気圧のままでいるため、離陸時と同じように、鼓膜を境に外側と内側で圧力差が生じます。
<着陸時の圧力のかかり方>
外側気圧・高↑┃鼓膜┃内側気圧・低↓
圧力は内側へ→
その結果、離陸時と同様に「耳が痛い」という現象が起こってしまうのです。
飛行機の離着陸時の耳の痛みは必ず起こるのか?
通常、人間の耳には、自然に内側と外側の圧力を調節できる機能は備えています。
『耳管(じかん)』という咽頭(鼻と喉をつなぐ部分)から耳の中につながる管を通して、鼓膜の内側の気圧を外側の大気圧と等しくしたり、分泌物を咽頭側に排出することが可能です。
しかし、飛行機の離着陸や、エレベーターで急激な上下方向への移動を行った場合、急激な気圧の変化についていけずに気圧の調節がうまく出来ず、耳の内側と外側で気圧差が発生してしまいます。
通常は、あくびをしたり、つばを飲み込んだり、飴をなめる等をした際に、耳管がひらいて圧力の調整を行うことができ、痛みを解消することが出来ます。
しかしこのとき、耳管の通りが悪かったりすると、鼓膜への圧力がかかっている状態を解消できず、『耳が痛い』という現象が起こってしまうことになります。
飛行機の離着陸で耳が痛いときの治し方
では、実際に飛行機の離着陸で耳が痛くなってしまった場合は、どのように対策すればよいでしょうか。
前述のとおり、耳が痛くなる理由は耳の内外での気圧差であるということ、そして、人間の耳には、圧力を調節するための『耳管(じかん)』が存在するということを説明しました。
つまり、耳が痛い状態を解消するということは、「耳の内外の圧力差を解消する」ということに他なりません。
『耳抜き』による対策
耳の内外の圧力差を解消するための代表的な手段としては、「耳抜き」があります。
これは、強制的に「耳管」を開くことで、耳の外と内側の圧力差を解消するというものです。
<耳抜きの手順>
- 鼻を指でつまむ(鼻から空気が漏れないように)。
- 目を閉じる(閉じないでもよいが、閉じると若干効果が上がる)
- 唾液(つば)を飲み込む、またはあくびをするように大きく口を開ける
- 上記3で解消されない場合、そのまま閉じた鼻に向けて吐くように空気を送る
- 空気が耳管を通して耳へ流れるため、耳に意識を集中する
このとき、最も注意が必要な手順は「4」です。
鼻に向けて空気送る際に、勢いを付けては絶対にいけません。
急激に耳管から鼓膜側に向けて空気が送られてしまった場合、鼓膜をいためてしまう可能性があるからです。
場合によっては穴が開いてしまって暫く耳が聞こえにくい状態に陥ってしまったり、ぎゃくに耳が詰まったような状態になってしまう可能性があるからです。
慎重に、耳の様子に集中しつつ、少しずつ圧力を加えていきながら行いましょう。
耳栓を使った対策
飛行機で耳が痛くなった場合の耳栓での対策、ときいても、騒音をシャットアウトするための道具で、なぜ耳の痛みが取れるのか?と思われるかもしれません。
実は、飛行機で耳が痛くなる現象の対策に特化した、飛行機専用の耳栓というものが存在します。
代表的なものが、以下の製品『サイレンシア・フライト・エアー』でしょう。
商品の公式サイトには、以下の説明があります。
本体の装着部が5段フランジ構造になっており、また耳栓内部に気圧変化を緩やかにする調整機能がついていることで、飛行機での離着陸の際に、急激に変動する気圧の影響で起こる鼓膜や耳の痛み・不快感を効果的に軽減します。
しかしこれは、耳が痛くなったから使用する、というものではありません。
装着のタイミングに使い方としてのコツがあるため、併せて紹介しておきます。
<離陸時>
着席後、すぐに着用し、その後離陸して上空まで上がった後にシートベルト着用サインが消えるまで装着し続けておく。
<着陸時>
そろそろ目的地という状況で機体が高度を下げ始めたと感じたら着用し、着陸するまで装着し続けておく。
こういった便利グッズを使用することで、飛行機が少しでも快適になるのであれば、検討してみる余地はあるかと思います。
薬を使った対策
鼻づまりが有る場合、『耳管』の通りも悪くなり、結果的に耳が痛くなる原因となることがあります。
しかも鼻が詰まっていると、最も有効な対策である『耳抜き』もし辛くなってしまうため、飛行機に乗る際に、現在鼻が詰まっている状態かどうかが、耳が痛くなるかどうかに大きな影響を与えることになります。
しかし、鼻づまりの改善には市販薬でさまざまなものが販売されているため、有る程度は事前に対応できます。
飲み薬であれば効き目が現れるまでに時間がかかるため、飛行機に搭乗する前にあらかじめ飲んでおく必要があります。
それ以外にも、飛行機に搭乗中の緊急措置としては、鼻の穴に直接スプレーするタイプの点鼻薬を使うという選択肢もあります。
血管収縮成分として、ナファゾリン塩酸塩や、オキシメタゾリン塩酸塩、塩酸テトラヒドロゾリンなどが配合されている点鼻薬であれば、使用後数分で直ぐに効果が出るため、離着陸の直前にでも使用すれば対応できます。
飛行機内での一時的な使用であれば、鼻づまりに対する薬での対策をとしてはこちらがお勧めです。
まとめ
本記事では、飛行機の離着陸時に耳が痛くなってしまう理由と、その治し方や軽減を目的とした防止策について調査しました。
- 飛行機離着陸時に耳の内外で気圧差が発生することで耳が痛くなる
- 耳が痛くなった場合は、『耳抜き』を行うこと
- 耳栓を使用した防止策も有るので検討してみる
- 鼻づまりが有る場合は薬による対策も併用する
飛行機に乗った際に、離着陸時に耳が痛くなる現象に対してまだ旨く対策が出来ていない。
そのような人の問題解決に、この記事で調査した内容が役立てば非常に喜ばしいことです。
本記事を最後までお読み頂き、有難うございました。
コメント